映像テクノアカデミア

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【映像・広告】「夏のセミナー2011・白土謙二さん」

2011年9月20日 15:02

夏のセミナー2011のトリを務めていただいたのは
電通戦略執行役員の白土謙二さんでした。
白土さんは1977年に電通入社。

シンガタの佐々木宏さん、
東京芸大大学院教授の佐藤雅彦さんと同期です。
この年代の広告クリエイティブはとてもやんちゃだったことがわかります。

白土さんはこの「やんちゃ」さを今も持ち続けているな!
と講義を聞いて思いました。
それはとてもクリエイティブであるということにもつながります。
いままでの常識を疑ってみる。
常識的な考え方と、そうではない考え方とを同時に考えてみる。
そういった訓練をすることによってアイデアを出すことが出来る。

例えば、佐藤雅彦さんは営業からクリエイティブに転局になった当初は
どのようにしてCMを作るべきか思案されていた時期があったと聞きました。
佐藤さんは資料室で過去の名作CMをたくさん見ます。
その中から佐藤さんは法則を発見していきました。
それは表現のスタイルです。
どのような表現のスタイルがあるのか?
それをジャンル分けしてキーワードを作る。
それは何でもいい、と。例えば「絵本」とか、「リズム」みたいなものでも構わない。
そのキーワードをたくさん書きだして
そのキーワードをベースにアイデアの開発をするようにすれば
たくさんの企画が考えられるということを伺いました。

同じようなことをコピーライターの大先輩でもある秋山晶さんが
おやりになっているということも聞きました。
秋山さんは自分のコピーを書くにあたって、
参考にしている文章を書く人は村上春樹なんだそうです。
そして秋山さんは村上春樹の文章が何故好きなのか?
を分析します。そこから、秋山さんは村上春樹の文章は
「擬人法」が多いことに気づくそうです。
その「擬人法」ということを意識して秋山さんは
広告コピーを書かれるそうです。

これは佐藤さんがCMを見ていくつかの法則を発見するのと同様に、
秋山さんは好きな文体や文章の法則を発見して
コピーを書く手助けにされているということです。

このように広告とは、ある法則を発見してアイデアを作り出していく作業である、
ということがパート1(前半)の主なお話でした。

第2部は、広告の未来について
どのように白土さんが考えているのか?ということを
実際に行われた具体的な事例とともにお話をされました。
ある銀行の店舗の環境デザインを含めた
トータルコーディネート、
またある商業地区のランドスケープデザインを含めたアイデアの提案、
そしてユニクロやセブンアンドアイなどを初めとした様々な企画提案の事例。

白土さんの提案は広告コピーやCMのの表現などの枠を大きく超えています。
企業の研究をし、そして、その企業が行おうとしているプロジェクトを研究し、
わたしどもはこのようにすればいいのではという提案を率直に提案されています。
その時に白土さんは電通の人間ではなく
一生活者の視点から経営者に語られます。
このように数多くの経営者と話し合い、
本当の生活者視点のコミュニケーションは
こうあるべきだということを「やんちゃ」さを含めて提案し続けている方なのでした。

白土さんはいつ企画を考えるのですか?という質問に
午前0時から2時までの2時間です。と、
その2時間で考えつかないときは翌日朝6時に起きて再度考えます。
昼間はいろんなところに出歩いて
様々な表現物を見たり聞いたりしています。
白土さんが前々からおっしゃっている異ジャンルに学べ!
を自ら実行されているのだと聞いて、
その「やんちゃ」を保ち続けていられる秘訣を伺ったような気になりました。
夏のセミナー2011東畑&白土 020.jpg

【お知らせ】秋の試演会のご案内

2011年9月14日 15:57

9月19日(月・祝) 「秋の試演会VOL.1」を、当校の5階特別ステージにて行います。
スケジュールは...... 
14:30 開場 
15:00 開演 
●プロステージⅠ 芥川龍之介原作「杜子春」の朗読劇。演出 片岡富枝 
●専科特訓(火) 「営業忍者サイトー」「猫の事務所」「母の愛」「桃太郎」 演出 佐藤宏樹 
●専科特訓(日) 「スタジオS」 作・演出 一の宮はじめ 

入場は無料。 ベテラン達が演技を競い合うこの3作品。 歌あり、笑いあり、涙......? とにかく、各グループが夏休みを返上して練習した成果をご覧頂けると思います。 

そして9月23日(金・祝)は「秋の試演会VOL.2」が行われます。 
14:30 開場 
15:00 開演 
●トータル・トレーニング・コース 「肉体改造クラブ」 演出 西海真理  
●俳優研修クラス 「今日想曲」 演出 藤井ごう 
●俳優実践クラス 「5ルームス」 演出 小山ゆうな 

こちらも、夏休み期間中に空き教室を使って熱心に練習していました。 是非、当校に足を運んで、皆さんのお芝居に対する情熱に拍手を送ってください。 

10月のイベントについてはこちら・・・・・・
創作舞台 10/10(月・祝) 
声優実践クラスA・B・Cによる、自作自演の創作舞台!
場所:映像テクノアカデミア5階D教室 

こちらも入場は無料ですので、皆さまお誘い合わせの上、ご来場ください。 

お申込みは、お電話(03-3352-7084)、またはメール(academia@tfc.co.jp)、当日直接いらしていただいてもかまいません。

皆様のお越しをお待ちしております!

【映像・広告】夏のセミナー2011・東畑幸多さん

2011年9月12日 21:52

当初、予定されていた8月26日のスケジュールが変更となり
29日の公演となりました。
日程変更が決定してから、チラシの情報変更、
HPへの告知変更、ツイッターでのお知らせ、たび重なる告知を行い、
最後には最強の東畑さん自らのリツイートによって
たくさんの方に来ていただくことが出来ました。

公演当日まで事務局に電話が鳴り、申し込みをしていただいた方々に感謝。

とともに、東畑さんの話が聞きたいからと
スケジュールを調整して頂いたみなさまの熱意が
東畑さんに伝わったのだと思います。


人と人がつながって行く広告を見せて頂き、
それの話を聞くことによって受講者のみんなの気持ちがつながっていきました。
それは講演をしているときに肌で感じたことです。
肌で感じたことは一生忘れない。
東畑さんはそのことを「JR九州新幹線全線開通」の
キャンペーンのお話を通じて教えてくれました。

時代の寵児となっているクリエイタ―の東畑さんです。
サントリーボスの「ゼロの頂点」シリーズや
カップヌードルのガンダムが出てくるCMなどが現在オンエアー中です。

東畑さんは、メディア状況の変化によって、
広告コミュニケーションは本当に人の気持ちを動かすものでないと、
ちゃんと効かなくなっているということをお話されていました。

東畑さんは、
そこの部分をきちんと担保しようとしているから、
届くCM作りが出来ているのでしょう。
リクルートの山田さんという女性の就職活動を応援するリクナビのCM。
そして、オトナグリコのキャンペーンでは、
大人になったサザエさんの「かつて子供だった」人たちを描いたCMなどを見ました。

後半は、あまりにも多くのことがありすぎて
まだまとめ切れていないとおっしゃった、
「九州新幹線全線開通」のCMキャンペーンのたくさんのお話を伺いました。
最初ビデオコンテでプレゼンし数チームの中から競合を勝ち取りました。

そこから、本当にこのCMは可能なのか?
そして人の気持ちに届くものになるのか?
考えられるリスクを軽減するためにどのような方法が考えられるか?
などなどの多くの課題を事前に検証し
クリアして行かれたのでした。

まるで「プロジェクトX」を見ているような。
品川から横浜間を走る新幹線などで
窓外の風景がどう見えるのか?
ウェーブは可能なのか?などの検証を始めました。

様々な問題をクライアント、広告会社、そしてプロダクションが
一体となって考え続けたとおっしゃっていました。

その後、九州の実際の窓外の風景を撮影したりして、
それをもとにビデオコンテを制作。
ヴュー・ポイントとなる場所をきちんと許可を取り担保し、
さらにイベント会社と一緒になって最低の応援人員を担保しました。

しかし、結果から言えば、このリスクヘッジは嬉しい杞憂に終わったのでした。
九州のたくさんの人々が2月某日、新幹線の線路の脇に集まって
趣向をこらしたパフォーマンスを行いました。
そして、仕込みで行われたカットと比べて
実際の人たちのカットの方が魅力があるとおっしゃっていました。
編集ではそのより魅力的な映像をつなげていったそうです。
最初のオフライン編集では45分あったものを
泣く泣く3分までに短縮しました。
しかし、来てくれた出来るだけ多くの人に出てもらいたいと、
様々なヴァージョンを制作したそうです。

 これだけの人数を集めるために
今年の冒頭から様々なメディアを使って
2月某日、七色に塗られた新幹線をみんなで応援しよう!という広報活動が行われました。
JR九州の全ての駅の媒体を利用し、
たくさんのタイプのTVCMを流しウェブでも連動が行われ、
撮影を迎えました。

この日は、九州の電通のほぼすべてのスタッフが現場に行きました。
ECDの古川裕也さんも東京からかけつけ、
ある駅で現場ディレクターとして陣頭指揮をとっていたそうです。
新幹線に乗車出来たのは東畑さんとADの大木さんだけだったそうです。

その当日のメイキングビデオを見せて頂きました。
それは、それはたくさんの人がかかわり
いったい何台のカメラが用意され何人の関係者が集まったのだろう!
という光景が続きました。

東畑さんが、最初、あまりその気がないような風だった
制作会社のプロデューサーたちが、撮影が終わり、
編集が終わったときに、顔つきが全然違っていた、
何かをやり遂げた人たちの顔をしていた。
それは現場にいてそこでやり遂げたからこその顔であった。
という話を伺い。
プロダクションカンパニーの人間としてとても感銘を受けました。

東畑さんは、
こうやって一緒に仕事をしたスタッフとは
一生の付き合いが出来るという言葉を聞き、
こういう人たちが集まったからこそ
このプロジェクトが成功したのではないか、と
改めて感じさせてくれました。

【スタッフこぼれ話】夏休みを終えて

2011年9月 8日 13:24

ひさしぶりのKEN坊です。

おそらく、皆さんの夏休みは、海、山、海外旅行、と楽しく過ごされたことと思います。あるいは、読み残しの本を読破した、映画館をハシゴした、一日中音楽を聴いてゴロゴロしていた、友達と政治・経済の難しい話をしながら飲み明かした、----------。

私は映画大好き人間です。古い映画からハリウッドの活劇まで乱読ではなく、乱鑑と言ったら良いでしょうか。やたら映画館で劇映画、モニターでDVD、を見まくっていました。

そんな乱鑑者の映画についての話を聞いてください。よく"映画は原作よりも面白くない""映画は原作を超えられない"などという言葉を耳にすることがあります。もちろん、いままでにはたくさんの名作が生まれ、原作よりも面白い作品が生まれていますが。

原作をシナリオ化する際のポイントは、あるシナリオライターの話を引用させてもらいますが。柵の中の牛を原作に例える、バケツとナイフを持ったシナリオライターが柵の周りをぐるぐると歩き回る、牛のある部分を、ここだ!と思ったらそこにナイフを突き刺し、血をバケツでドバっと汲み取る。これが原作をシナリオ化するコツだ、と。ようするに、原作を全て網羅するのではなく、一番言いたい所を掴んで主軸とし、映画として膨らませていく。

さらにシナリオは小説のように細かい心理描写を行間に滲ませるのではなく、監督(スタッフ)が想像力を働かせられるように簡略化することが大事な要素となります。

企画(オリジナルシナリオ)は創造の第一ステージです。

夏休みを終えて、映像・広告クリエイター科の各クラスは修了作品制作に向かって実習に取り組んでいます。

私も皆さんに負けないように乱鑑者として酒を飲みながら、ゴルフを楽しみながら、時には企画を考えています。

実際の形にする前に行う頭の中での空中戦は果てしなく広がり、ほとんど着地に失敗します。だけど、これほど、面倒くさいことはないですが、こんな楽しいことはありません。

当学科は、ワイワイガヤガヤとかしましく楽しくやっています。

一度、空中戦に参加してみませんか。

 

 

 

【映像・広告】夏のセミナー2011さとなお・佐藤尚之さん 

2011年8月24日 13:56

3回目の夏のセミナーは「さとなお」さんこと、佐藤尚之さん。

「新しいコミュニケーションのカタチとそのチカラ」と題して、

現在の「ソーシャルメディア」の状況と

その未来に関してとてもわかりやすく語ってくれました。

 

その根本にはSIPSという考え方があります。

2007年に佐藤尚之さんの講義を聞いた時には、

インターネット時代が到来して情報が圧倒的な量になった、

その情報をどのように制御していきながらコミュニケーションをしていくのか?

ということがテーマでした。

昭和の広告の教科書などに書かれている

AIDMAの法則からAISASへと変化しているということについて語っていただきました。

シェアということがその中で重要になってくると。

共感を分かち合うということでしょうか?

 

そして、4年後に再び来て頂いた今回のお話では、

ツイッターやフェイスブックとの連携によって新たな価値が創出されたことを、

さとなおさんは強調されていました。

それはタイムライン(時間軸)という概念がそこにある、ということです。

ツイッターなどはタイムラインに沿って情報が流れてくるのを

見ていますのでその同時性みたいなことがとても重要になってきます。

 

例えば3・11の震災後に都営地下鉄が運行を開始するという、

猪瀬直樹東京都副知事の「つぶやき」はまたたくまにリツイートが繰り返され

拡散していきました。

猪瀬さんを全くフォローしてなかった人も

他のフォロワーのリツイートで知ることが出来ました。

そのつぶやきはテレビの報道よりも30分以上も早く、

ツイッターのタイムラインの即時性を物語る貴重なエピソードとなりました。

 

IMG_2784.jpg

さとなおさんは「さとなお.com」というブログを運営しており

13万人以上が訪れる人気サイトとなっています。

また、ツイッターのフォロワーは6万人以上で、

その影響力はかなりのものです。

というのは、彼が発信したものが次々と引用され

リツイートされていき爆発的に拡がっていくということが可能だからなのです。

そのために一番大切なことは「共感」であると、さとなおさんは語ります。

「共感」なくして拡散なし。

猪瀬直樹の「地下鉄運行のつぶやき」もそうした意味で

貴重な情報とみんなが思ったことで、

その「共感」がより拡散する結果となったのでしょう。

 

その「共感」をいかにして獲得していくか?というのが今後の大きな課題です。

単にそのブランドや商品が好きという人が、

ブランドや企業の永続的なコミュニケーションによって

ますます好きになる。

さらに、好きになるとそれを誰かに勧めたくなる。

そして最後には、そのブランドや商品を

積極的に推奨してくれる人になる、というプロセスの形成が生まれます。

 

その推奨者のことを「エバンジェリスト」

evangelist 福音伝道者、『特定の分野への 』熱烈な支持者)と呼ぶそうです。

アニメ映画「エバンゲリオン」はこの言葉から来たものですよね。

さとなおさんは自分はアップルコンピューターの「エバンジェリスト」である

という例で説明してくれました。

例えば、今講義で使用している、最新のマックブックエアのことについて

「世界で再薄のこのデザイン!」などと、

アップルから頼まれもしないのに自らの気持ちで話し

みんなに伝えていく。

そういう「エバンジェリスト」になってくれる人を何人育てるのか?

というのが今後の新たなソーシャルメディア時代の

マーケティング目標のひとつになるのでは?

ということを語っておられました。

 

そのためには「エバンジェリスト」候補者との、長いおつきあいが必要になるだろう、と。

その結果、初めて「エバンジェリスト」が生まれてくるのでしょう。

そのために企業は生活者とのロングエンゲージメントという考え方をベースに

コミュニケーションをやり続けていかなければならないということを強調されていました。

 

昨年のカンヌ広告祭で受賞した

「ゲータレード」の「REPLAY」のキャンペーンを例に具体的に説明がありました。

往年のフットボールの引き分けになってそのままになっていた伝説の試合を、

あの時と同じメンバーが練習し集まって30年ぶりに再試合を行うというイベントです。

メディアはこれをこぞって取り上げ、3万人入る試合の会場から

多くのつぶやきや発信がなされ、中継され、

米国中の話題になったそうです。

実は、ここで試合報告のTVCMを打つとさらに拡がりが加速するらしいのです。

が本件では予算の関係で打つことが出来なかった。

実は、試合終了後の、このタイミングでのTVCMは

かなり効果的であり新たな「エバンジェリスト」候補者を

産むきっかけになるのです。とおっしゃっていました。

 

そして、この中高年へのエールのようなキャンペーンは

これからも続けていく予定だそうです。

バスケット、野球、サッカー、そして音楽イベントまで、

時期に合わせての修正は必要かもしれませんが、

こうして長く続けていくことによって、

がんばる中高年に対して「ゲータレード」が応援しているよ!

というメッセージは深く到達していくのでしょう。

こうして、長期に渡って生活者とコミュニケーションしていくものは

これから、1企業や1商品だけではないような気がしました。

行政や自治体や学校などもこれから、生活者に対して

どうコミュニケーションしていくか?という方法がとても大切になるだろうと思いました。

IMG_2782.jpg

 

講義の冒頭で、さとなおさんは、このようにお話されていました。

オバマ大統領のコミュニケーションチームは250人います。

しかし日本の首相はゼロである。

 

あるきっかけから、さとなおさんの提案で鳩山元首相は

首相就任後、ツイッターを始めました。

また「鳩カフェ」などのイベントも行われたのも

覚えている方も多いかと思います。

 

今後の、さとなおさんの活躍が楽しみですね。

もうすぐ出版されるであろう、

佐藤尚之の「明日の広告」に続く新刊に

本日の講義で語られたことが書かれるのでしょう。

 

最後に、さとなおさんの名言をご紹介します。

 

これはフェイスブックの「Like!(いいね!)ボタンの存在に対しての言葉です。

 

「情報は肯定される」 という前提に立っている。

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