【スタッフこぼれ話】華やかしシリーズ物映画!
2014年9月22日 13:50
昨今、ひときわ映画のシリーズ物が劇場を賑わしている。企画の貧困と一言でかたづけてはいけない制作側の思惑が渦巻いているようだ。 明らかに1作目からシリーズを狙った内容の映画もある。(特出したヒーロー物は全てと言って言いほど顕著である)思いのほか最初の作品が大ヒットしたことで、シリーズ化を目論むこともある。 ただ、シリーズを重ねるごとに製作費が増して大活劇に仕上げていくのだが、内容は最初の作品を越えられないモノがあるようだ。例えば『ランボー』『ダイ・ハード』などはそうではないだろうか。 また『スターウォーズ』のように、エピソード4・5・6を公開したあとにエピソード1・2・3を公開するような配給か製作の事情かどうか分からないが、必ずしも話を順序立てて公開されているとは限らない物もあるようだ。 さて、ここでは、1990年『羊たちの沈黙』を話題にしてみよう。はたしてこの作品がシリーズ物を企てて制作されたのか分からないところがある。 それは、大好きな女優の一人であるジョデイ・フォスター(「タクシードライバー」「告発の行方」)が2作目の2001年『ハンニバル』に出演していないことでそうなのかな、と思うことがある。ちなみに「ハンニバル」はジュリアン・ムーア(「エデンより彼方へ」)が出演している。 2002年「レッドドラゴン」はエドワード・ノートン(「ファイト・クラブ」)の主演と続くが、ここまでの3作目まではアンソニー・ホプキンスがレクター博士としてレギュラー出演しているが、4作目の2007年「ハンニバル・ライジング」は、ギャスパー・ウイリアム(「ロング・エンゲージメント」)が主演している。ここではレクター博士の幼少期から青年期までを描いているのでアンソニー・パーキンスは出演していないのは当然だとしても、最終シリーズ作品でレクター博士の異常な精神構築がここに起因しているすごい話の展開に引き込まれた思いがある。第4作目にして初めて、レクター博士のむごすぎる若い時代を描いている。いわば、シリーズの展開は過去へ遡っていることになるが、これは、第1作から意図的に企画されたのか分からない所がある。そしてこのような企画が最初からあったにしろ、次第に企画を考えていったにしろ、第1作から4作までひきつけられたシリーズ物はあまり他に浮かばない。 華やかし超ヒーローが活躍するシリーズ物と一味違ったシリーズ物が新たに出てくるのが待ち遠しい! そして今、スターチャンネルでは、「レッド・ドラゴン」以前のレクター博士のドラマシリーズ「ハンニバル」第2シーズンが2015年にオンエア決定!今年中に第1シーズンのおさらいをおすすめします。
【映像翻訳】News and Literacy
2014年8月21日 14:35
最近 ニュース番組(News Show)がおもしろい。
TOKYO MXという放送局を知っていますか?
「5時に夢中!」とかのちょっとお下劣な情報番組しかやっていないと思っていたら、今年の4月から始まったニュース番組がすごくおもしろいんです!
2014年3月まで見ていたニュース番組は、小谷真生子さんがメインキャスターを務めていたテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト(以下WBS)」1本だけでした。
なにげに休みの金曜日に「5時に夢中!」(結構好きなんです)を見ていたら、TOKYO MXで堀潤さんが新しいニュース情報番組「モーニングCROSS」(月曜から金曜の朝7時から8時25分の帯番組)を始めることを知った。確か、堀潤というジャーナリストを知ったのも「5時に夢中!」。報道の内容で上司ともめ、NHKをやめたアナウンサー。なかなか根性のある人と見た。最初は応援する気持ちと「どんなもの?」という気持ちで見たのだけれど、これがおもしろい!
「WBS」は皆さんもご存じのとおり、経済ニュースを中心にした普通のニュース番組。
しかしTOKYO MXは全然違う。「モーニングCROSS」はHPに「聖域なきニュース番組」とあるように、今まで政府や大手新聞社の顔色をうかがって、テレビでは流さなかったニュースや意見をどんどん放送する。
MCは元NHKのアナウンサー堀潤さん、アシスタントは元日テレアナウンサーの脊山 麻理子さん。
特に気に入っているコーナーが、「専門分野に長けた論客が独自の視点で今、知るべきニュースを語る」の堀さんの言葉で始まる「一言いいたい オピニオンCROSS」。
その日のゲストスピーカー3名がそれぞれ気になるニュースを選び、好きに語る。まさに「聖域なし」。
MCは話が逸れた時は軌道修正をするが、基本的に「言ってはいけないことはない!」
8/19のゲストは松浦茂樹さん(ハフィントンポスト日本版編集長)・東小雪さん(LGBTアクティビスト)・米村美智子さん(精神科医師)の3人。
8/20のゲスト三木哲男さん(婦人公論編集局次長)・三輪記子さん(弁護士)・開沼博さん(社会学者)。
毎回のゲストがユニークで存在そのものもおもしろいし、話の内容も興味深い。経済や政府の政策を分かりやすく解説してくれる三橋貴明さん(経世論研究所所長)や、高校球児のうなじが好きという山口真由(弁護士)は8/21出演予定。
もう一つ欠かさず見ているTOKYO MXの番組は「淳と隆の週刊リテラシー」。
「淳」はロンドンブーツ1号2号の田村淳、「隆」はジャーナリストの上杉隆。
淳は「ロンハー」などのときのような軽いノリで、政治や経済のニュースをどんどん深堀していきます。(やっぱ頭よかったんだね、この人)
上杉隆はあまりに本当のことを言うために、MX以外のテレビ局からは今はお声がかからない(と本人は言っている)、ノリは軽いけど、本気のジャーナリスト。それに元日テレ(また日テレ)の阿部哲子アナウンサーと、どうでもいい鈴木奈々、それにゲストとして硬派のジャーナリストや政治家などが加わり、ニュースの裏側までいろいろ曝け出してくれる。先週のゲストは東條英機のひ孫の東條英利さんでした。
田村淳は、番組の最初に言います。
「今週も情報を読み解く力、リテラシーを持ってこの番組をご覧いただきたいと思います」と。
長くなったので、Morpheusが初めてNeoに会った時に言ったセリフで閉めます。(もちろん映画はMatrix)
Let me tell you why you're here. You're here because you know
something. What you know you can't explain, but you feel it. You've felt it
your entire life, that there's something wrong with the world. You don't know
what it is, but it's there, like a splinter in your mind, driving you mad.
当たっちゃいました!
映像翻訳科
鈴木
【映像・広告】「信也のまんま 3」 第1夜/中島信也×上田義彦さん 2014年8月6日
2014年8月 7日 13:44
今年の「信也のまんま」第一回目のゲストは写真家の上田義彦さん。上田さんと中島信也が表現することへの奥深さについてを語り合いました。 上田さんは関西の出身。高校を卒業して、自分の希望していなかった大学に進学したものの、再トライしようと思い、浪人生活を選択。二浪の末、大学ではなく写真の専門学校に通うことになりました。 クラスで写真撮影の経験がまったくないものは二人だけでした。写真専門学校の先生はそれを見て、「キミたちはいいんやないの?!」とおっしゃったそうです。 上田さんはこの写真専門学校での講師のことがとても好きで、将来はこんな先生になりたいと思って写真専門学校に通ったそうです。(そんな上田さんが、今年から多摩美術大学の教授を始めることになりました。) 卒業後、カメラマンの福田匡伸さんのところにアシスタントとして入り、その後、有田泰而さんのところで修業をされ、1982年に独立をされます。 そのころ、上田さんが撮りためた作品集を持って、当時丸の内の東京ビルにある広告会社に作品集を見てもらいに行ったそうです。すると、見た方が開口一番、「キミは広告に向いてない・・・。」と言われたそうです。「広告は明るくてきれいでなくちゃいけないのに、君の写真は暗い」と。すべてモノクロの作品だったそうです。ショックを受けた上田さんは、東京ビルの向かいの高架下にあった蕎麦屋に入って一休みしたそうです。 しかし、上田さんは全然めげません。数日後、上田さんはその作品集をファッション雑誌「流行通信」の編集部に持っていきます。1980年代ものすごく勢いがあり、最先端なファッション写真を手掛けているこの雑誌の仕事を上田さんは始めることになりました。 広告との出会いは、流行通信の写真を観たサンアドの葛西薫さんから声がかかり、仕事をするところから始まったそうです。上田さんと葛西さんのサントリー烏龍茶のキャンペーンは、広告史に残る仕事ではないでしょうか? その後、上田さんが手がける広告の仕事が増えていきます。 最初はグラフィックを中心にされていましたが、1980年代にグラフィック写真家にTVCMを撮ってもらうというスタイルが増えてきて、上田さんもムービーを撮るようになりました。 1980年代はある種、自由度が高かった時代ではないかと中島信也と上田さんが語ります。 感覚的なものを大事にすることができ、現場で「感覚を開放して」仕事ができる環境がありました。現在は、規制が多く、多くの約束事の中で仕事をすることになり「感覚を開放」することがなかなかできない状況でもあります。 でもあの頃の感覚を今も大切にしたいと二人は語っていました。そのためには「おおらかさ」が必要なのかも知れません。中島信也も上田さんも、そうした広告主やクリエイターたちとの出会いがあり、その人たちの「懐の深さ」の中で感覚が解放されていったのではないでしょうか?ものを創るときのある種の余裕が成長の糧になるということですね。 中島信也との出会いとなった仕事は、「パルコグランバザール」のCMでした。藤谷美和子さんが着物を着て佇む美しいものなどです。 その後、大貫卓也さん(第2夜で対談)との「生け花小原流」などの仕事を経て、多田琢さん(当時:電通、現TUGBOAT/第3夜で対談)とのサントリーの「ダカラ」の仕事が長く続きました。 「ダカラ」といえば小便小僧が出て喋るというCM。白い小便小僧に白バックということで、上田さんに頼んでも暗くならないだろうと思っていたら独特の暗めのトーンになって、いったんはもっと明るくしてみたのですが、それは明るすぎる!ということで、結局は元のトーンに戻ったそうです。 今観るとそんな「暗い」感じはまったくなく、むしろ時代が上田さんの撮影の表現レベルに追いついて来たのでしょう。 その後、中島信也と上田さんは現在まで10年にわたる「サントリー伊右衛門茶」のTVCMのキャンペーンに携わられます。実は伊右衛門茶のTVCMのライティングとダカラのTVCMのライティングの仕方はとても似ているそうです。スタジオで、曇り空のリアルな自然光をいかに創り出すかがポイントだったようです。 そして、ドコモの「walk with you」シリーズのお話になりました。 CDである多田琢さんが、演出を全面的にに中島信也ディレクターに任せており、中島信也は撮影に関する部分は上田さんに任せている。先ほども出た「懐の深い」仕事がこのシリーズでは実現できているのでしょう。 現場では上田さんは、「感覚を開放」して気持ちのいいフレームを切り取っていかれるそうです。フレームの決め手は、自分の中の遺伝子レベルにおいて、また撮影現場の自然環境の中で「なつかしい」という感覚に出会えることだそうです。この感覚は人によって、違ってくるのかも知れませんが、撮影フレームを決めて切り取るということの本質的な意味がこのお話の中から見えてくるようでした。 そして、上田さんはそのフレームが見つかるまであきらめない。きっと見つかると信じて仕事をやっているとおしゃっていました。それが見つかることを上田さんは「奇跡」という言葉で表現されていました。「奇跡」を見つけるには「余裕」が必要だ、とも話され、先ほどの「おおらかさ」とか「懐の深さ」と同じだと思いました。 絵コンテを見て、こうしたいというイメージが自分の中に生まれ、それを超えたものを探したい!という気持ちを、常に持ち続けて仕事をされているという姿勢に、会場内が静かな熱気に包まれました。 また上田さんは広告の仕事と並行して、自らの写真家としての活動をされています。いろんな場所にカメラを持っていき、たくさんの写真を発表されています。何も用事がないときはスタジオの暗室にこもるのが何よりも楽しいとおっしゃっていました。 数年前から竹芝で写真のギャラリー「gallery916」を始められました。 自らの写真家としての仕事と、広告の仕事を両方やることがとてもバランスが取れていていいのです、と語っておられました。中島信也も演出家をやりながら取締役として会社の経営会議などに出席し、また、大学などで講義をし、さらにはバンド活動などもやっています。やっていると休みがなく大変だけど、これをやることが自分らしいのでは?とおっしゃり、この感覚も上田さんの感覚と同じようなことがあるんだろうなと想像しました。 対談終了後のアンケートの中で、今回のトークショウを聴き「とても静かな気持ちになった」というコメントが印象に残りました。
【スタッフこぼれ話】『GODZILLA ゴジラ』いよいよ公開!
2014年7月24日 15:56
怪獣映画の傑作として映画史に燦然と輝く『ゴジラ』を
ハリウッドが再リメイクした超大作『GODZILLA ゴジラ』(配給:東宝)が、
いよいよ7月25日(金)より全国ロードショー!
本作の日本語版を東北新社が制作しています。
演出を三好慶一郎さん、劇場字幕・吹替翻訳を川又勝利さん、
耳の不自由な方のための劇場字幕演出を岡田理枝さんが担当しました!
みなさん当校の声優・俳優科と映像翻訳科の講師であり、川又さん・岡田さんは卒業生でもあります。
どうぞご期待ください!
【スタッフこぼれ話】ジブリに夢中。
2014年7月16日 10:59