映像テクノアカデミア

Techno Voice スタッフが綴る公式ブログ

2018年12月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

月別アーカイブ

【映像・広告】カンヌライオンズ2012報告会 その4

2012年10月22日 12:17

続いて登壇したのは二人。川村真司(PARTY)と柳澤大輔(面白法人カヤック)。
ふたりともSFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)の卒業生です。

川村さんはSFCを出て博報堂、BBH、アムステルダムの180を経て、NYのワイデン&ケネディに籍を置き、帰国して「PARTY」を設立。SFCの佐藤雅彦ゼミ(現:東京芸大大学院教授)の一期生でもあります。
1979年生まれだから今年33歳!若い!

柳澤さんは、1974年生まれの38歳!「面白法人カヤック」の社長です。
ソニー・ミュージックエンタテインメントを経て起業。WEBサイトの構築を中心に始め、いまはゲームなどを多く手掛けています。
柳澤さんが広告関係の仕事を始めたのは、最近のことらしい。広告がメインでない方がカンヌの審査員をするというのが、とてもカンヌらしくていいですね。

一番あたらしいことを見せ続けるための祭典としてのカンヌ。
それが純粋アートではなくマーケティングとして、コミュニケーションとして行われているものが一堂に集まる場所はそんなにありません。強いて言うならONE SHOW(カンヌ国際広告祭、クリオ賞と並ぶ「三大広告賞」のひとつ)やD&ADなどがそれにあたるのかも知れませんが、市場をここまで意識しているものは他にはないんじゃないでしょうか?

そして、今後すべてのデザインやプロダクトやアドバタイジングやPRなどが、シームレスとなり一体化していくことが予想されます。未来の行政がやらなければならないことを、先取りして始めてしまっているのがこうしたクリエイターたちなのでしょう。

「広告」として語られない日が、もう目の前に来ているような気がします。
そのためには「広告」以外のものから私たちは何かを吸収し、学び続けなければいけないんじゃないか?ということを教えられた1日でした。

この二人の担当部門は「Mobile」(2012年創設)と「Cyber」(1998年創設)です。

まずは「Mobile」の審査を行われた柳澤さんの話を聞きました。ぼそぼそと喋るのだが説得力があるので驚きます。
900本のエントリーをオンライン審査し、その後カンヌに行って、絞られた700本を審査にかけるというもの。 まだきちんと確立した部門でないので、ダッチロールしながら進行していったことが、柳澤さんの話で伝わってきました。カンヌの運営は、とにかく始めてみて続けるということが重要なのでしょう。

凄く興味を持ったのがフォード自動車の「Key free login」というもの。
Bluetoothのついたスマホが、パスワードなどの暗証番号をすべて不要にする鍵になる。Bluetoothのスマホが近づけば自動的にパスワードを入れなくても起動できるという便利ものです。
これは説明を聞いておもわず欲しいと思ったサービスでした!
「Mobile」のグランプリはコカ・コーラのキャンペーンでした。
知らない国の誰かにメールを送って、受け取った人は、コカ・コーラの設置した専用の自動販売機で受け取ることが出来るというもの。グーグルがその仕組みを提供しています。ワールドワイドブランドらしいキャンペーンでした。

そして「Cyber」で、川村さんが語っていたのが
「Craft」「Use of media」「Utility」
この三つを兼ね備えたキャンペーンが、賞を獲得できるということ。
グランプリは、スウェーデンのキャンペーン
スウェーデン国家の公式ツイッターのアカウントから、毎週国民の誰かが国家の代わりに「つぶやく」というもの。まさに行政が行うことを、このようなアイデアでカタチにしていくキャンペーンが賞を獲得する時代になったのです。鳩山首相が就任後に「ツイッター」を始められたのが記憶によみがえってきました。

その後、モデレーターの橋本洋生さん(アサツーディ・ケイ)を交えて、川村さんと柳澤さんのトークがありました。
柳澤さんの会社だからこそ出来る「広告ビジネス」についての言葉は、多くのWEBを中心とした起業家共通の悩みでしょう。
どのようにしてビジネスにしていくのか?
旧来の広告会社が獲得している既得権を壊すべく、試行錯誤されている現実感が伝わって来ました。

<前の記事     次の記事>