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【映像・広告】カンヌライオンズ2012報告会 その3

2012年10月16日 15:02

トイレ休憩をはさんで後半が始まりました。
パネルディスカッションの登壇者は、
市耒健太郎(博報堂)、内田哲也(博報堂DYメディアパートナーズ)、八木義博(電通関西・東京ルーム)。
モデレーターはマッキャンエリクソンの溝口俊哉さんでした。

このパートのカテゴリーは「Outdoor Lions」(1992年創設)、「Media Lions」(1999年創設)、「Design Lions」(2008年創設)。

まずは「Outdoor」から。
といってもこのジャンル、表現も多種多彩でポスターやビルボードだけでなく、インスタレーションやプロジェクションマッピング、フラッシュモブなどなどの、すべての屋外で催されるものに関して扱われるもので、エントリーも4843作品に登りました。
ちなみにFilm部門は3600作品。
このパートで印象的だった言葉が、カンヌで評価されるものは

「人類の課題をキモチに転換するということ。」

ができているもの。このレベルにいかなければカンヌで賞を取れないということです。

ここでグランプリを獲得したのが、メルセデス・ベンツのゼロエミッションの車を扱ったキャンペーン。
ゼロエミッションということは何もない、ゼロということは目に見えないことでもあるということから、 メルセデスは「Invisible Car」というものを開発しました。
一方のサイドにLEDパネルをボディに貼り付け、逆サイドにはカメラを設置し、一方のサイドに映っているものが逆サイドのLEDに映し出される仕組みです。
そうすると、車は消えて見えなくなるという。そしてメルセデスはそれをカタチにし、実際の道路を走らせました。

「Media」では、審査員はメディアエージェンシーの経営者クラスがほとんどで、そこには明らかに、メディアパーソンという存在がいると内田さんは強調されていました。 メディアパーソンは、お金のにおいに敏感で、それはつまりビジネスチャンスをいつも狙っているという意味でもあります。
企業家や経営者の視点を持った人が、メディアのキャンペーンをどのように評価するのか?ということが語られました。

あるスポーツ新聞のキャンペーンで、そこの紙面にサッカーに関する記事がすべてなくなったら、
というものがありました。新聞はその状態で発行され、白い箇所がいくつも紙面の中にある。 紙面が記事で埋まっていることがいかに大変なことであるのかを逆照射したようなものでした。

メディアパーソンは、こうしたものにグググッと来るらしいです。
渡辺恒雄さんや、ルパートマードックさんなんかもこのグループに含まれるのでしょうか?

グランプリはロンドンで行われた「グーグル」の音声検索キャンペーン
ロンドン市内の至るところに新機能のVoice Searchを使って検索できる発音記号めいた謎のポスターを設置。実際に、その通りにケータイに向かって発音してみると..。

「Design」は八木さんが解説。
八木さんは、実際に今年のカンヌでも受賞されており、受賞回数がめちゃくちゃ多いクリエイターの一人です。
今年も「行くぜ、東北!」のキャンペーンなどで受賞されていました。
目の前の仕事に真剣に取り組んでやりきった後は、いかに初めて見る方に分かりやすく広告のキャンペーンを再構成して見せていくのか?その作り方で受賞の機会が大きく変わってくるとおっしゃるのを聞き、大きく納得しました。
異文化の人たちが一堂に集まり、コミュニケーションをしていく際に必要なものは何か?を教えられたような気がしました。

グランプリ作品はオーストラリアの環境に関する年次報告書(アニュアルレポート)が受賞しました。
銀のホイルで包まれた袋から取り出した、特殊な印刷がされた報告書を太陽光に当てると、真っ白だった本から文字やビジュアルが浮かんでくるというもの。
そんな印刷技術があることに驚き、テクノロジーはクリエイティブを進化させるものでもある、とも納得しました。

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