【映像・広告】CMプランナーが主人公=妻夫木聡の映画「ジャッジ」を見た!
2014年1月15日 13:21
脚本は電通のECD澤本嘉光さん。監督は2年連続ACCのCMフェスティバル
クラフト部門で演出賞を獲得した永井聡さん。
この二人が、実際のCM業界の映画を作った。
主演は妻夫木聡。
澤本さんはガスパッチョなどのCMで妻夫木さんとの付き合いも長く、
今回のCMプランナーの役ははまり役となった。
世界最大のCMフェスティバルと言えば、
昔からカンヌ(Cannes lions)である。
澤本さんは実際にそのカンヌで2度審査員を経験されている。
その経験と実際の日々の仕事の経験を基に
映画の脚本を書かれているのでリアル。
もちろん、コメディ映画なので、
大胆な表現やデフォルメされたものがあるが、
こういうことあるある、というようなことがたくさん描かれている。
それにどう対応して前に進み続け創りつづけるのか?
ということが広告クリエイターに問われる。
大手広告会社「電通」と思われる会社にいるCMプランナーの
妻夫木君とその上司のCDと思われる豊川悦司。
二人は「きつねうどん」のCMを作っている。
いきなり「二番工房」と書かれたカチンコや、
「オムニバス・ジャパン」のCMクレジットが登場する。
実際の現場やスタイルのディテイルを忠実に再現しつつ、
ストーリーが荒唐無稽のコメディ。
劇場内でも笑いがあちこちで起きていた。
実在の広告主の名前が登場する。
豊川悦司が同じ広告会社の営業部長?と思われる、
風間杜夫とチクワを作っている会社に行く。
創業者の息子が作ったCMを世界最大の広告祭で賞を獲らせたら
230億の扱いが来ると言われ、風間は豊川に社命を下す。
が、どう考えても賞に値しないCM!これで獲らなければ首だ!
と言われた豊川は妻夫木君に審査員を変わるように命じる。
妻夫木君はそれをしぶしぶ受け入れ、同僚の北川景子と、
その広告祭に出発する。
出発の前に妻夫木君はリストラ室とも言える資料室にいる
過去の海外広告祭審査員経験者の鏡さんこと、
リリー・フランキーに審査のコツを聴きにいく。
リリー・フランキーは「そして父になる」でもそうだが
名バイプレイヤーとして今の日本映画には欠かせない俳優である。
リリーさんの存在がその後の広告祭での妻夫木君のふるまいの底に
大きく横たわっていくのである。
やることは面白いのだが、そこで澤本さんが書いていることは
ある純粋さをもって本質をついていく。
本作は、その少しでもいいモノを作るというクリエイティブの純粋性と
数々の受賞を経てある既得権益を得て
そこにしがみつこうと政治的な動きをする偉い人々との対立の構図が描れている。
そして、この映画ではその純粋さに夢をみさせてくれる。
クリエイティブを志す人なら必ず持つだろう、その気持ち。
あんなCMを作ってみたいという気持ちの原点が蘇ってきて
見ている人の気持ちが動き出す。
それは世界に通じるものでもあり
異文化の中でどのようにコミュニケーションを取り理解しあえるか?
ということそこからが見えてくる。
副審査員長を務めた外国のCDがかっこいい!
そのCDに向かって、現場でTシャツ姿で
スタジオ撮影をしている姿の中に本当の志があると、
妻夫木君が語るシーンがとてもよかった。
また日本人審査員のライバルとして博報堂と思える会社の女性CD、
鈴木京香が登場する。
エンドロールにはたくさんの業界関係者の名前が
これでもかというくらい登場する。
ああ、こうしたCMを舞台にした映画が出来てよかったなあ!
と大きな勇気をもらって劇場を出た。