【映像・広告】JAAAクリエイティブ研究会 2013年6月21日@ヤクルトホール
2013年7月 2日 09:53
毎年、JAAAではクリエイターズオブザイヤー賞を発表している。
受賞者の中から何人かがこうして自らの仕事を発表するのが
このクリエイティブ研究会。
この日も4人の広告クリエイターが登壇した。
まずは、中島和哉さん(@アサツー・ディ・ケイ CD)
中島さんの仕事で有名なのは
名古屋にあるファッションビルサンシャインサカエの広告である。
毎年、面白いCMを作っており、
アドフェスト4年連続受賞などの結果につながっている。
通して中島さんの仕事を見せていただいて
この2年ほどの飛躍的な企画とそれに伴う
エグゼキューション(実行)=プロダクションワークの
進化を実感することができた。今後の活躍が楽しみ。
つづいて、中村信介さん(@読売広告社)
中村さんのお話を聞いて、これくらいサントリーの
企業文化を理解している方って何人くらいいるのだろう?
という気持ちになった。
サントリーの創業理念から
企業哲学のすべてを理解して
それをきちんとした広告にアウトプットしている手法は
プロの技を感じる。
サンアドが「洋酒天国」などを出していたあの時代なら
中村さんは間違いなく彼らと同じメンバーとして
広告を作っていてもおかしくないような印象を受けた。
ということは開高健や山口瞳と肩を並べて
仕事をするということでもある。
そんな昭和のおおらかで豊かなものを
中村さんの仕事から感じた。
サントリーという企業のありかたが
中村さんをさらに成長させているのかもしれない。
サントリーホールのラジオCMがいい。
それを実行する熱意と実行力にも頭が下がる思いだった。
3人目は福部明浩さん(@博報堂 クリエイティブディレクター)
京大工学部から博報堂に入社してクリエイティブをされているという
面白い経歴を持つ方。
クノールカップスープの「つけパン」「ひたパン」という
キャンペーンを考えた方でもある。
このキャンペーンは昨年、
ACCのマーケティングエフェクティブネス部門のグランプリを獲得している。
そして、いまオンエアーしている仕事で
みんな知っている代表的なものが
「届け、熱量」
というコピーで満島ひかりが出演している
「カロリーメイト」のキャンペーン。
立ち上がりのCMで満島ひかりが
中島みゆきの「ファイト」をアカペラで唄う中、
地方の高校3年生が東京に受験を受けにくるまでを描いたもの。
このCMは今年オンエアーされたCMの中でも
傑作の一つに挙げられるだろう。
福部さんはADと一緒に制作会社で夜中までへとへとになるまで
働いているときにこの曲をいつも聞いていたという
エピソードが印象的だった。
福部さんがおっしゃった
「コピーはどこで仕事する?」(Where)
というのを考えるのが僕の仕事です!という言葉が残った。
そして、その広告のフレーム以上のものを決めるのは
論理でなく感情である1という根源的なことがわかって
広告作りをしているという話は
多くのクリエイターに響くのではないだろうか?
PS:CMでは日テレ60周年記念で流れたものを初めてみて衝撃を受けた!
最後にお話しされたのが
伊藤公一さん(@電通 エグゼクティブクリエーティブディレクター)
伊藤さんは今やHondaのコミュニケーション業務を
一手に引き受けておられる。
アカウントマネジメント局の中にいる
クリエイティブディレクターという位置づけ。
それもHondaが電通1社にコミュニケーション課題についてを
お願いすることになったからだとうかがった。
こうした強い絆のパートナーシップをもとに
仕事をされている。
ナイキとワイデン&ケネディ、
アップルとTBWAのリー・クロウのような関係。
そこから、Hondaの「負けるもんか」のキャンペーンなどが
生まれてきた。
同時に作られた「試す人になろう。」「面白いから、やる。」の
CMも拝見した。
伊藤さんの守備範囲は広い。
新車発売時のコミュニケーション。モデル末期の車種の活性化。
ローカルや女性への攻略。
販売店への集客。企業広告の進化。金利商品開発。
東京モーターショーのディレクションなどなど、
そこで問われるのはHondaらしさということ。
伊藤さんの過去の仕事も拝見した。
サッポロビール箱根駅伝用CM。
そのとき伊藤さんがひっかかったクライアントの言葉。
「伊藤君、ビール造りは農業なんだよ。」
そして、朝日新聞の「ジャーナリスト宣言」
ベネッセの勉強することの意味をはっきりさせるための授業
「なんで勉強しなきゃいけないの?」の仕事も面白かった。
全国で自分の将来のことを考える授業3コマが実際に行われたらしい。
伊藤さんはある先輩にこういわれたことがあるらしい。
「クリエーティブはジャーナリズムだ。」
今、その言葉の意味がようやくわかりつつあるという
伊藤さんの言葉は重い。
もっと勇気をださなきゃと思わせてくれた研究会だった。