【映像翻訳】吹替翻訳に物申す!!
2011年6月21日 16:57
ちょっと挑発的なタイトルで始めてみました。
半年ぶりの登場、男守骨斗(だんすこっと)です。
梅雨、ですね。私は嫌いです。
まあ、「好き」って人もあまりいないんでしょうけど。
洗濯物が乾きにくいとか、ジメジメして不快とか嫌いな理由は色々あるんですが、
今年はぶっちぎりでこれですね。
お気に入りの自転車に乗れない!
お気に入り過ぎて、濡らしたくないので、雨の日は乗らないようにしてるんですが、
しばらく乗らないと、そこそこストレスが溜まってきますね。
カラッと晴れた青空の下、緑が生い茂る代々木公園の、
その木々と葉をくぐり抜けるようにして走るのは、まさに「爽快」の一言。
そんな日が一日も早く訪れることを勝手に祈っている、今日この頃です。
そろそろ本題に。
前回のブログにも書いたように、
私はアカデミアの声優・俳優科の講師と、吹替のディレクターという二つの仕事を
「どちらも本業」という心構えでやっているのですが、実はもうひとつの仕事があります。
「節操ないな~」なんて言わないでください、本人も何となくそんな気がしてるんですから。
いや、ところがこれは、私が日本語吹替版の制作に携わる人間である限り、
絶対に疎かにできない要素であり、深く関わるべき要素であると思うのです。
それは、吹替翻訳の講師。
とは言っても、英語ができるわけではないので、訳し方を教えているのではありません。
あくまで、ディレクターとしての見地から、どういう吹替翻訳が望ましいかを伝えるという
「特別講義」という形での授業です。
この授業は先月行われたのですが、
ディレクターの仕事内容や翻訳者との関係性、台詞の尺の長さの合わせ方についてや、
読みやすい翻訳原稿の書き方などを、体験談、主に失敗談を織り交ぜながら説明しました。
生徒のみなさんも、普段あまり聞けない話だからでしょうか、とても熱心に聞いてくれていたようです。
昨年まではこの1回こっきりでしたが、今年からはこの授業と「アフレコ実習」という授業が連動し、
より実りの多いものになりました。
「アフレコ実習」がどういうものかと言うと、
某有名映画のワンシーンを、授業の時間内で生徒のみなさんが吹替翻訳し、
それを次の授業で、プロの声優さんに読んでもらう、というもので、
しかもただ読むのではなく、収録現場さながらの環境で実際に台詞を収録し、
その場で映像と合わせて見て確認するという、とても実践的な授業です。
「同じ映画の同じシーンなのに、これだけ違いが出てくるものか!」
というのが私の印象。
そこには誤訳といった問題も含まれますが、
書き手によってキャラクターの印象がずいぶん異なるものだな、と感じました。
これはまさに一目瞭然だと思ったのが、台詞の尺の長さ。
翻訳していく過程の中で、「尺合わせ」という、オリジナルの台詞の長さに合うように
日本語の台詞の長さを調整する作業があるのですが、
声に出して読まれることをイメージしながら、実際に声を出してやらないと、適切な長さにならないのです。
その「声出し」を怠ったのでしょうか?
「これ早口言葉?」くらいのスピードで読まれる台詞がいくつか見られ、
思わず吹き出してしまうこともありました。
しかしそれも、プロの声優さんがどのくらいのスピードで台詞を読めるものなのか、
また、どのくらいのスピードだと聞きやすいものなのか、というものを
収録現場に近い環境の中、「感覚」で捉えられたということはとても大きな収穫だったのではないかと思います。
授業を受けられた生徒のみなさんには、
この経験を、夏から秋にかけて行われる
「映像翻訳科×声優・俳優科 コラボレーション授業」
そしてさらにその先にある「卒業試験」とも言うべき
「トライアル」にうまくつなげていって欲しいと思います。
その先々には、私、男守骨斗(だんすこっと)が立ちはだかるはずです。
鬼の形相で・・・(笑)