【映像・広告】「信也のまんま 2」サントリー加藤英夫さんと中島信也の対談レポート!
2013年8月21日 12:54
加藤さんと中島信也CMディレクターとの付き合いは長い。
1980年代後半から30年近く仕事が続いています。
サントリー角瓶で鹿賀 丈史が出演していた「旅情&ウイスキー」
というCMが初めての加藤さんと中島ディレクターとの出会いです。
それからずーっと長く仕事をご一緒している関係が続いています。
サントリーという高いレベルでの広告表現のアウトプットが求められる
企業をそれだけ続けられていることが、奇蹟とも思えるような関係性をも
築き上げていると言えましょう。
いくつかの広告会社のCMプランナーたちと一緒になって、
中島ディレクターは「サントリー」というクライアントのために、
懸命になって、さまざまな表現で応えていきます。
加藤さんの言葉が印象に残っています。
ある時代までのサントリーは高杉治朗さんの演出に代表されるシャープで強いもの、
そして東條忠義さんの演出に代表される、文学的で抒情性に富むものがありました。
そこに中島信也ディレクターが参入し、あらたなサントリーの
コミュニケーションスタイルを築いてくれたとおっしゃっていました。
それは「楽しませ、人を幸せにすること」。
うまく言えませんが、
スーパーホップス、CCレモン、伊右衛門茶、燃焼系アミノ式、
などなどのCMを見ると、加藤さんのおっしゃっている意味が見えてくるのかもしれません。
時代が変わると、その時代に応じた、新たなCMの文法が生まれてくるのでしょう。
加藤さんと中島信也ディレクターのもう一つの共通点は
学生時代から広告が好きだったということ。
加藤さんは学生時代、毎週の伊勢丹の新聞広告(土屋耕一さんの手になるコピー)を
楽しみにされており、
毎月発売される「家庭画報」の「キューピーマヨネーズ」の広告(秋山晶さんのコピー)などを
心待ちにされていたそうです。
一方、中島ディレクターは中学の文化祭の舞台の幕間に流す
ラジオCM(※近所のお店)を作ったと話していました。
そして、この二人は広告の世界に入り、
結果的にこうして長く仕事をする関係になったのでした。
加藤さんのお話を聞いていると「言葉」に対する感性が高く、
その言葉が持つ世界観やレトリックなどに
限りない愛情をもっていらっしゃるのだということがよくわかりました。
加藤さんがサントリーに入社された初期の頃に
お書きになった
「金曜日はワインを買う日」
の広告コピーはあの時代とても衝撃的な言葉でした。
こうした言葉でライフスタイルが大きく変わっていくだろうという
示唆をも与えてくれるものでした。
ボディコピーもきちんと書かれており、文学的なリテラシーの高い
広告表現が出来るのがサントリーという会社でもあります。
それは、「寿屋宣伝部」時代(※寿屋=サントリーの旧社名)の
開高健や山口瞳から延々と続く伝統なのでしょう。
サントリーで長く広告を手掛けられている加藤さんから
広告するための企業が注力するいくつかののポイントを教えていただきました。
一つは、まず
企業の哲学をよく理解し、それをきちんと伝えるということ。
二つ目は創業者鳥井信治郎さんの言葉に代表される
「やってみなはれ、やらなわからしまへんで」
という言葉に代表されるチャレンジ精神みたいなものを理解すること。
そして三つめは、先ほどの開高健のコピーに代表される
「『人間』らしくやりたいナ、『人間』なんだからナ」
ということの本質的な価値を理解することだと思うのです。
これらはすべて「サントリー」という会社の持つ
企業文化(哲学=フィロソフィー)を理解して、
その大きな骨格の上に立ってコミュニケーションをしましょう
ということなのではないでしょうか?
その企業文化を
広告を通じて好きになってくれる人が増えることになり、
そこの商品や会社が好きになり、
企業ブランドを愛してくれるようになってほしい。
そのようなことを想ってサントリーは
レベルの高いコミュニケーション活動をやり続けておられるのだと理解しました。
加藤さんが、こうしたコミュニケーションを一緒に行っている
スタッフへのねぎらいの気持ちをいつも持たれていることに感心しました。
懐が本当に深いというのは、
こういうことを言うのだなあと感じる一夜となりました。